薪ストーブの事 我が家にはテレビがありません。ふつうの家庭では、テレビが設置されえるであろう場所に、赤色の薪ストーブが鎮座しています。


家を建てると決めたときから、暖房は薪ストーブと、心に決めていました。どうすれば、奥様を説得できるか、などと考えていたわけですが。どういう訳か、何の反論もなく、最大の難関をクリア。 あっさりと薪ストーブ導入が決定しました。

薪ストーブのホームページをあさるように読み、メーリングリストに加入し、情報を集めました。 ヨーロッパの質実剛健のヨツールか、デザインに優れる(と私が思う)アメリカのバーンモンドキャステティングか。 さんざん悩んだのですが、多くの薪ストーブユーザ、経験者に助けられて、無事選定にこぎ着けました。 最後は、ご近所の恵那ラジウムで見た、赤のレゾリュートアクレイムに決めました。 何せ主暖房。多少苦労はしそうな予感もありますが、単に暖めるのなら、石油を使えばよいわけで。 心休まるデザインを優先しました。

薪ストーブと石油ストーブの違い

名前の通り、まず燃料が違います^^;; 私の薪ストーブの原体験はザルツブルグの暖炉でした。 知人の学校に遊びに行ったとき、道に迷いずいぶん遅く寮につくと、教師が暖炉の前で雑談をしていました。 薄暗い部屋(ヨーロッパはそんなもんだ)で暖炉の炎にてらあれて楽しげに談笑する。 「ヘラウス!」 仲間に加わると、その炎は何ともいえず、暖かでした。

その後、日本で主に使われている石油ファンヒータは、便利だけれども、有害な成分がでる。(換気しろ、とかいてありますよね。あれは二酸化炭素のことではないですよ。)なによりも、空気対流の暖房で室温はあがるけど、熱放射が少ないために暖かさを感じない、ということをしりました。
本当は、暖炉がほしかったのですが、(今でも!)、熱効率が悪いため薪を大量に準備する必要があることがネックとなって実現していません。 年をとって、薪割りが面倒になったら、暖炉にして、チェーンソーで輪切りにした丸太をがんがん燃やすのが夢です。

輻射熱って?

ふくしゃねつと読みます。聞き慣れない言葉かもしれません。
説明は難しいのですが、要はひなたぼっこのぬくもりです。
ものには温度があって、同じ気温でも、暖まりやすいものと暖まりにくいものがあり、それぞれ温度が違います。気温が一定でも、相対的に温度の高いものは熱を放出し、低いものは吸収します。 また、空気を多く含む木材や、空気をあまり含まない石もあります。大理石はひんやりとするし、木にぬくもりがあるの(は、そのためです。 炭火で焼くと中まで火が通っておいしいのは、この輻射熱(の波長)のおかげなのです。 薪ストーブは、もう300度の輻射熱の塊なわけです。(火が燃えていれば、ですが。) エアコンやファンヒータは空気を通じて熱を伝えます。ところが空気はなかなかものを暖められないのです。 100度のサウナが我慢できても、45度のお風呂が我慢できないですよね。 あるいは、気温0度は大丈夫でも、水温0度は、致命的です。 このように、同じ温度でも、 空気は体の表面しか暖めませんが、輻射熱に含まれる赤外線は、体の中からも暖めます。 焚き火が暖かいのはそのためです。

炎の揺らぎ

扇風機には1/fの揺らぎがついています。薪ストーブの炎に1/fの揺らぎがあるかどうか知りませんが、炎をみていて飽きがこないのは事実です。パチパチと音を立てて燃える真っ赤な炎や、青く揺らぐオーロラのような炎など、空気のコントロールで様々な見え方をします。

安全性
薪ストーブは安全です!
我が家は木材でできています。そのため、火災に対しては最大限の配慮をしています。炎を伴うガスは使っていませんし、消化器があちこちに設置してあります。 薪ストーブは火を使う、ということで心配な方もいらっしゃるようですが、ご安心ください。不安定なファンヒータより、よほど安全です。200キロの重量では、大きな地震でも簡単には動きそうにありません。
いくつかの注意事項がありますので、ご参考までに。

煙道火災
薪ストーブは安全です。完全に囲まれていますし、燃料も限られています。唯一、火災の可能性が残されているのが、煙突。いわゆる煙道火災です。 これは、煙突にたまったタール(クレオソードと呼んでいます)が突然爆発するように燃えるもの、されています。 ほとんどの人は経験がないので、耳学問です。
乾いた薪を使うこと、煙突の掃除を年に1回すること、これで間違いなく防げます。

バックドラフト
それほど危険ではないのですが、小規模のバックドラフトが発生することも希にあるようです。こちらは周りに経験者がいるので、煙道火災より可能性は高いようです。 燃焼室が酸欠状態で炎がくすぶる状態(空気を絞る状態)に対し、十分な酸素を与えると(扉を開ける、ともいいます^^;;)突然爆発的な燃焼を引き起こすもので、USJで見たことのある人にはわかりやすいでしょう。 ストーブの場合、燃焼室がさほど大きくないので、ビビル程度のようです。

やけど
子供を含め、この事故が一番多いのではないでしょうか。小さなお子さんがいる家庭では、安全策などの対応が必要でしょう。しかし、薪ストーブは、どちらから近寄っても熱いので、気がつく子は気がつきます。しかし、どこも熱いので、気がつかないと、触ればやけどします。 また、薪の投入時に袖口が引っかかったり、前扉をあけたら、燃える薪が転がりでたり。
我が家の様子を見る限り、3歳の息子はわかっているようです。
火の扱いには十分な注意が必要です。 念のため、ヨーロッパを中心に「ヒースラグ」と呼ばれるストーブや暖炉(heath)の周りで使われるラグがあります。 このラグは燃えにくい羊毛でできています。心配な方は羊毛のカーペットのご利用をお勧めします。 羊毛であれば、燃える薪を落としても、そこの部分は黒こげになります(炭化)が、燃え広がることは、ないでしょう。 (こちらは本業なので、間違っていないハズ。)